大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

山口地方裁判所萩支部 昭和48年(ワ)20号 判決 1975年10月31日

主文

一、被告は原告に対し、金二五五万円及びこれに対する昭和四七年四月一日以降支払済みまで年五分の割合による金員の支払をせよ。

二、訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一、申立

一、原告

主文と同旨の判決を求める。

二、被告

請求棄却・訴訟費用原告負担の判決を求める。

第二、主張

(請求の原因)

一、原告は、昭和三八年七月九日成立の農事組合法人であり、被告は昭和四一年六月一五日原告組合の理事に就任したところ、その後原告組合は経営不能となり解散することになり昭和四七年六月八日理事安藤新熊が清算人に就任し、清算手続に入つたものである。

二、ところで、右解散手続に入るに先だち原告組合は昭和四七年二月二五日臨時総会を開催し、その負債整理について協議した結果、原告組合の事業を訴外古谷泰敬、同水津英男に売却代金一三〇〇万円で譲渡する、負債総額四六〇七万四四〇二円から右一三〇〇万円を差引いた残額三三〇七万四四〇二円は被告を含む理事一三人で均等割りにて分担し、一人当り金二五五万円と定め、これを原告組合へ昭和四七年三月三一日までに納入する旨理事全員意見が一致し議決した。

三、よつて、原告組合は右議決に同意した被告に対し、右負担金二五五万円及びこれに対する弁済期後である昭和四七年四月一日以降民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(被告の答弁)

一、請求原因第一項のうち、原告がその主張の農事組合法人であること、経営不能により安藤新熊が清算人に就任し清算手続に入つたことは認めるが、被告が原告組合の理事に就任した事実は否認する。すなわち、被告は、理事就任の意思表示をしたこともなく、理事としての権限を行使したこともない。被告は組合員となることを条件に単に労務者として雇われ昭和四五年五月一方的に解雇された者にすぎない。

二、同第二項のうち、原告主張の臨時総会が開催されたこと及び被告が右総会に出席したことは認めるが、原告主張の残債務につき理事一三人で分担支払することに意見が一致したとの点は否認する。原告主張の議案が右総会に提案されたことはあるが、右議案が議決されたか否かは知らない。

三、農業協同組合法七三条一項において農事組合法人に準用される同法一三条四項によると、農事組合法人の組合員は組合法人の債務につき出資額を限度とする有限責任を負うに止まるものであり、右規定は強行法規である。従つて、例え前記臨時総会において原告主張の議決がなされたとしても右議決は無効である。

(被告の答弁三、に対する原告の反対主張)

被告指摘の法規は、出資した組合員の責任限度を定めた規定であつて、役員の責任を限定したものではない。

第三、証拠(省略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例